リフォームでも建築確認申請が必要に。法改正で変わる、失敗しない工務店の見極め方【社長コラムVol.19】
- 平松
- 9月1日
- 読了時間: 4分
更新日：9月18日
「そろそろ間取りを大きく変えるリフォームをしたい」
そうお考えの方は、一つ知っておくべき大切な法改正があります。実は今、これまで不要だった規模のリフォームでも「建築確認申請」が義務付けられるケースが増えているのです。
この変更は、新築をメインに手掛けてきた工務店にとっては当たり前の手続きですが、小規模なリフォームを専門にしてきた会社にとっては、非常に高いハードルとなっています。施主は、この変更が「リフォームを依頼すべき会社」を見極める重要な指標になります。
今回は、この制度の背景と、後悔しないために知っておくべきパートナー選びのポイントを解説します。
そもそも「建築確認申請」とは？
まず、「建築確認申請」とは何でしょうか。 これは、建物の新築や大規模なリフォームを行う際に、その計画が建築基準法などの法律に適合しているかを、工事を始める前に役所や指定確認検査機関にチェックしてもらうための手続きです。
一言でいえば「あなたの家の安全性を、法律のプロが事前にチェックする」ための重要なプロセスです。耐震性や防火性などが基準を満たしているかを確認し、違法な建築物が建てられるのを防ぐ目的があります。
これまでは新築工事で必須の手続きでしたが、法改正により、一定規模以上のリフォームやリノベーションでもこの申請が求められるようになりました。特に、4号建築物（一般的な木造2階建て住宅など）で、大規模の修繕・模様替えを行う場合などが対象となります。
なぜ今、リフォーム業界がざわついているのか？
この法改正は、工務店によって受け止め方が大きく異なります。
すんなり対応できる会社
普段から新築を手がけており、確認申請の書類作成や行政とのやり取りに慣れている工務店。
社内に建築士が在籍しているか、提携している設計事務所との連携がスムーズ。
施主への影響：見積もりに申請費用がきちんと計上され、工期も申請期間を考慮して組まれるため、安心して任せられる。
対応が難しい会社
これまでキッチン交換や内装の張り替えなど、確認申請が不要な小規模リフォームを専門にしてきた会社。
申請に必要な図面作成や構造計算のノウハウがない。
そもそも、この法改正自体を正確に理解していない可能性も。
施主への影響：「うちは申請やったことないから…」と断られたり、知識がないまま工事を進めてしまい、後から違法建築になってしまう最悪のケースも考えられます。
正直なところ、業界内でも「リフォームの度にここまでする必要があるのか？」という疑問の声も上がっています。手続きが増えることで、費用や工期が余分にかかってしまう側面も否定できません。 しかし、ルールである以上、それを遵守し、お客様の資産である住まいの安全性を担保するのがプロの仕事です。
【最重要】失敗しないリフォーム会社の選び方
では、私たちは何を基準にリフォーム会社を選べば良いのでしょうか。以下の3つのポイントを必ず確認してください。
1. 大規模リフォーム・新築の実績を確認する
会社のウェブサイトや施工事例を見て、新築や間取り変更を伴う大規模リフォームの実績が豊富にあるかを確認しましょう。小規模リフォームしか実績がない会社は、今回の法改正に対応できない可能性があります。
2. 「確認申請の経験はありますか？」と直接聞く
相談や見積もりの段階で、**「今回のリフォームは確認申請が必要になるかもしれませんが、申請業務の経験は豊富ですか？」**とストレートに質問してみましょう。 この質問に対して、明確に「もちろんです。申請から工事まで一貫してお任せください」と答えられる会社は信頼できます。逆に、曖昧な返事をしたり、嫌な顔をしたりするようであれば注意が必要です。
3. 見積もりの「申請費用」の内訳を確認する
信頼できる会社は、見積書の中に**「設計料」や「確認申請費用」**といった項目を明記し、その内訳をきちんと説明してくれます。 この項目がなかったり、「費用は後から別途請求します」といった説明をされたりした場合は、その会社に依頼するのは見送るべきでしょう。
リフォームは、あなたの暮らしをより豊かにするための大切な投資です。デザインや価格だけでなく、こうした法律を遵守し、安全性を担保してくれる「プロとしての姿勢」を見極めることが、これまで以上に重要になっています。
今回の法改正は、私たちにとって少し面倒なことに感じるかもしれません。しかし、それは同時に「本当に信頼できる工務店」を見分けるための、分かりやすい試金石とも言えます。大切な住まいを安心して任せられるパートナーを、ぜひご自身の目で見極めてください。
